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今年の1月から始まった、さよなら一番カルビ・かるび企画。
最終回を飾るのは、加盟企業である
豊田産業株式会社
専務取締役の豊田偉久(トヨダヨリヒサ)さんです!
初めは周りからの批判もあったという一番カルビ加盟時のエピソードや
元町店店長時代のご経験、小林さんとの思い出など、
豊田さんお得意のユーモアを交えながら、貴重なお話をたくさんお話いただきました。
一番カルビに加盟した当時を振り返って、印象に残っていることは何でしょうか?
加盟は今から20年前。
当時は豊田産業として飲食店へ加盟するということに対して
批判が多かったんです。トヨタ系列という関係もあって、まわりからは冷ややかな目で見られていました。
ノウハウはなかったのですが、私自身は飲食業に興味があったんです。
何代も受け継がれてきた豊田事業は兄がやっており、
じゃあ私は何をやろうかと悩んでいました。
1年くらいいろんな事業を見て回った後、愛知県の西尾市で
まだ創業期でスタッフの元気の良かった焼肉屋さかいを運営することになりました。
ロードサイドの駐車場が付いている居抜きの物件を改装しました。
ただ、当社はノウハウが無かったので、
出資するかたちで、プリンセスガーデンホテルのメンバーに運営を任せていました。
その時に立ち上げを一緒にやらせてもらったことが、外食に携わった一番初めのきっかけです。
しかし、依然として周りからは「焼肉屋なんてあり得ない」と、反対されていました。
批判の多い状況のなかでしたが、加盟のきっかけは何だったんでしょうか?
当時独立していた髙橋さん(現:髙橋康忠常務)との出会いです。
髙橋さんを知人に紹介していただき、刈谷のミスタードーナツにて、いろいろ相談してみたんです。
その時は焼肉屋さかいに投資しているだけの状態になり、
また何かやってみたいと思って月刊食堂を見たり、
フランチャイズショーに行ったりして勉強していたところでした。
そこで髙橋さんに、フランチャイズをやって勉強した方がいいと言われました。
「今、豊橋にある株式会社げんじが運営している一番カルビが大当たりしていて、
近々フランチャイズ化する予定だから話を聞いてみた方がいいよ」と。
その通りで、当時一番カルビを真似した店がバンバン出ていました。
カルビ一丁とか、カルビ大将、カルビ屋大福とか。そのくらい一番カルビが大ヒットしていたんですよね。
加盟の決め手は何でしたか?
その後、当時は向山町にあった事務所で小林さん、高山さん、松倉さんから話を聞いて、
『一番カルビ曙店』で岩崎さんと松倉さんに店の案内をしてもらいました。
その2人の人間味に心を打たれたんです。それで心が決まっちゃいましたね。
いくら投資が掛かるか分からないけど、とりあえずやらせて欲しいと言いました。
私自身飲食業の経験が浅かったため、当時開店準備中だった
『一番カルビ豊川店』のオープンを見て判断するということになりました。
しかし、まずは店長として現場に入るという加盟条件を聞いたときは、
正直「自分が飲食店の店長をやるなんて恥ずかしい」と思いました。
地元ということもあり、豊田産業を知ってる人が来たときにどう思われるか、抵抗はありましたね。
今思えば、店長として研修を受けて本当に良かったと思います。
自分でやってみないと分からないですからね。
加盟から1号店目オープンまで1年10カ月かかったそうですが、なぜそんなに期間が空いたのでしょうか?
加盟後、物件が決まるまでが時間がかかったんです。
岩崎さんが一生懸命立地の開発を手伝ってくれていたのですが
なかなかいい物件が無くて。
そんな時、当時甲羅の開発本部長だった村田さんという方が
今の元町店を紹介してくれたのです。
岩崎さんにも見ていただき、問題はないということで、決まりました。
オープンまでの研修は大変でしたか?
僕を含め、スタッフは皆素人でした。元ホテルマンや元印刷屋の社員とか。
そういう意味でも、研修は必要なものでしたが、本当に辛かったですよ。
もう怖くて、お客さまに「いらっしゃいませ」が言えないくらい。
そんなことしたことが無かったので。
津島店でグリーターをした時は、もう怖くてドキドキしっぱなしで、
「お客さん、来るな。来るな。」と心の中で思っていました。笑
ハンディーも打ったことがないですし、レジの会計もしたことなんてありません。
あまりに忙しい時には石焼ビビンバを手で掴んでしまったり、
ウォッシャーで食器がどんどん溜まって洗い物に囲まれちゃったり。
当時はナムルを手で絞っていたことも思い出深いですね。
今はシステム化された技術で効率化されていますが、
昔は仕込みから全部手作業。今じゃ考えられないですね。
▲オープン間近の元町店スタッフの様子
でも現場に入って良かったです。現場での出来事を通して、
佳雄さんがおっしゃっている「最初は店長として現場に入ることが加盟条件」
という意味が納得できました。
仮に、焼肉屋さかいの時のように出資だけしている状態だったとしたら、
飲食店の大変さも醍醐味も、何も分かっていなかったと思うんですよね。
なので、やっぱり店長として現場に入って良かったです。
豊田さんも、デイリーカフェ&フーズの平尾さんと同じように、店長として研修を受けながら、様々な会議に参加されていたのでしょうか?
研修期間も、メニュー会議や試作会など様々な会議に出させてもらっていました。
大体半日なんですが、長時間に及ぶこともしばしば。
会議の途中で出前が配達されると、「今日は長いな」と悟っていました。
特に佳雄さんのエンジンがかかると止まらない。笑
また、僕は異業種からの参入だったので、飲食ならではの会議が新鮮でしたね。
メニューなどは本部が決めてくれるものだと思っていましたが物語さんは違いました。
外部からの意見も含めて納得するまで議論する。多くて長くてすぐ集まれ!な会議。笑
小林さんとの思い出を教えてください。
佳雄さんクラスになると、1日にいろんな人と話をするじゃないですか。
お話好きだし。ある日の午前中に僕が佳雄さんに他言無用の重要な話をしたんですが、
その日の夜、ご飯を食べながら佳雄さんから僕がした話を聞かされて。
「僕が今日伝えた話じゃん!それに他の人に言ってるし!」みたいなこともありました。笑
本当にお話好きなのは今も変わらないですよね。
そして、覚えているのは期間限定メニューとして提案された上ミノ焼きしゃぶ。
ミノを網で炙ってポン酢に付けて食べる商品だったのですが、
小林さんが「ドうまい!これでいこう」と太鼓判。
私自身はオペレーションが大変そうだと思ったのですが、
小林さんの激推しで商品化に至りました。しかしあまり売れずに伝説のメニューへ・・・
そんなこともありました。平尾さんも同じことを言われていたんですか?
加盟企業が2社しかなかった頃ですもんね。皆の記憶に強く残っているんですね。笑
平尾さんのインタビュー記事はこちら↓
満を持しての元町店オープン、不安や緊張、期待など様々な想いがあったと思います。
『一番カルビ元町店』のオープンまでに、
鈴鹿店や津島店の立ち上げも経験したので、そこまで不安はありませんでした。
スタッフも研修でずっと一緒でしたしね。
しかし、店長としていよいよ迎えた『一番カルビ元町店』のオープン当日。
最初のお客さまを案内しておしぼりをお渡しした瞬間にクラクラッときちゃって。
感動して緊張の糸が切れたせいか、熱が一気に出ちゃったんです。
元町店は物件がなかなか決まらず、加盟から1号店オープンまで約1年10カ月もかかっていて。
オープン当日、やっとお客さまを迎えることができた感動と安堵感があったんでしょうね。
▲オープン当時のインタビュー記事
でも、オープンした当時、店舗の前で道路工事をしていたんです。
道路が迂回路になってしまっていて、お客さまの入りが良くありませんでした。
その工事が終わった瞬間から売上は上がったんですが、
そこでちょうどBSE(狂牛病)が発生。まさかの出来事でしたよ。
まさかのタイミングですね。印象に残っているエピソードはありますか?
ある夜、一番カルビの社員から電話がきて、どうしたのと聞いたら
「もうレジ締めていいですか。今日の売り上げが7,000円しか無いんですよ」と
突然泣き出してしまった時もありました。
「お前らが悪いんじゃないんだよ」と話ましたが、
その時はやり切れない気持ちになりましたね。
お客さまが来ないので店舗の前で旗振りもしました。大変な時期でした。
実は一番カルビ2店舗目を三河安城駅前の地に建てる予定だったんです。
でももう焼肉屋をやれる状況じゃなかったので、物語さんに場所を譲り、
丸源ラーメンの1号店がオープンしたんですよ。そしたら反響は大爆発。
物語さんはすごいですよね。次から次へとちゃんと当たる状態を作るから。他は出来ないですよ。
豊田産業としての売り上げも好調になっていき、
グループ会社から飲食店へのフランチャイズ加盟について相談されるなど、周りからも認められていったのです。
豊田さんが思う、一番カルビの魅力は何でしょうか。
一番カルビは、「地域のコミュニティ」のような場でした。
いつでも笑顔と活気と人間味があって、温かい。地域の皆の拠り所です。
それは、物語さん自身が「物語大家族主義」という思想を持っているからこそ創られたものだと思います。
また、店長のカラーが出やすいのも一番カルビの魅力だと思いますね。
一番カルビもブランドとしてはクローズとなりますが、時代が巡ってニーズとマッチする時には
またやりたいですよね。素晴らしい業態ですので。
豊田さん、貴重なお話ありがとうございました!
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