見ず知らずの国で、多くの「縁」に恵まれて
サントスさんは18歳のときに来日されたそうですが、きっかけは何だったんでしょう?

ネパールで日本食レストランを経営している姉の夫がきっかけです。ネパール人だけど、日本人のような立ち振る舞いや仕事の姿勢が身についていた彼に「人として成長したいなら、絶対に日本に行ったほうがいい」と聞き、半信半疑だったんですが日本で働くことに興味を持つようになりました。あとは当時ネパールから日本へ働きに行くというブームもあったんですね。もちろん、その時点では全く日本語は話せなかったのですが…。勢いで海を渡ってしまいました。
なんと!すごい勇気ですね。その後、日本語はどうやって習得されたんですか?

来日して、当時住んでいたアパートの下の洋食屋さんでのアルバイト経験が大きいですね。最初の面接では警戒されたのですが、話すうちにお互い音楽をやっているとわかり一気に打ち解けたんです。
共通の趣味で意気投合したんですね。

ですが、やはり日本語が話せることも大事なので…店長に「明日までに覚えてきて」と言われた接客用語を一夜漬けで必死に覚え、採用してもらいました。働きはじめてからは、お店のお客様に「サントスくん、そういう場合はね…」と、日本語を教えてもらって上達していきました。

外国籍人財の採用で人員不足を解消
そして2019年に株式会社globに入社し、『焼肉きんぐ』のフランチャイズ店舗で働き始めるわけですね。

そうですね。私は人と接することがとにかく好きで、ずっとホールにいましたね。でも実は、店舗の人員不足と妻の妊娠が重なって大変だったとき、悩みを一人で抱え込んで、「もう辞めるしかない」と自分を追い込んでしまったことがありました。そんなときglobの社長から「一人で悩まないで相談してよ。一緒にここを乗り越えて、前に進んでいこう」と声をかけていただき、今ここで辞めたら、頑張って築いた関係性やキャリアを失ってしまうと気づきました。
社長の一言が、ポジティブに現状を捉えるきっかけになったんですね。

はい。もっと周りを頼って良いんだと思えるようになりました。そこからは従業員不足から脱するために、自分のネットワークも活用することにしたんです。地域のネパール人コミュニティに「アルバイトを探してる学生さんはいない?」と積極的に声をかけて採用し、人手不足を解消できたんです。また、そのときの取り組みがモデルとなり、会社全体でも外国籍人財を積極的に採用していこうという動きにつながりました。

経験が「国籍を超えた連携」を生んだ
福岡千早店でも外国籍人財の活躍を推進されたと伺いました。

外国籍人財をどう活用するかについては、その成功体験があったので、日本に来て1週間しか経っていない日本語学校の学生さんも採用して、ネパール語で指導していました。
1週間ですか? かなり早い段階からチャレンジされたんですね。

中には外国籍人財と仕事をすることに違和感があった日本人従業員もいましたが、なぜ外国籍人財を採用するのか、理由を一人ひとりに話し、賛同してくれる仲間を増やしていきました。そして私と一緒に外国籍人財を指導してくれた結果、彼らも一層成長でき、いつしか日本人従業員がいない日でも円滑に営業できるくらいになったんです。
かつて洋食店で日本語を教わったサントスさんが、今度は教える立場になられたんですね。

現在は店舗勤務からは離れていますが、本社で外国籍人財の採用や日本語学校などへの会社説明や面接など、外国籍人財の雇用に携わっています。また、店舗での専門用語や外国籍人財が住む社宅のマニュアルを英語とネパール語に翻訳したりなど、かつての経験を元にした出来るだけのサポートをしています。
お客様との対話が生まれる場所を作りたい
最後に、サントスさんの「なりたい自分」とは?

いくつになっても、新しいことをチャレンジできる自分です。株式会社globのなかの事業で新しいことをはじめるか、自分のお店を持つのもいいですね。漠然としたイメージですが、お客様とのんびり話せるバーのようなものをやってみたいなと思っています。これまで培ってきた接客力を活かして、自分もお客様も笑顔になれる場所を提供することができたらとても嬉しいです。