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大切なのは自己開示。孤独に苦しんだ店長が仲間と掴んだ成果とは

焼肉きんぐ 前橋店 店長 トンティエンフォン

大切なのは自己開示。孤独に苦しんだ店長が仲間と掴んだ成果とは

一人ひとりの「自分物語」を紹介する「みんなの物語」。今回は、『焼肉きんぐ 前橋店』で店長を務めるトン ティエン フォンさんに登場いただきました。ベトナム出身で、日本への留学中に『焼肉きんぐ』のパートナー(アルバイト)として働き始めたフォンさん。入社からわずか4カ月で店長に昇格し、順調なキャリアを歩んでいるように見えますが、実際には周囲の理解や応援が得られず、孤独に苦しんだ時期もあったとか。「当時はお店のことを見ているつもりになっていた」と振り返るフォンさんが、信頼と成果を育んでいった歩みに迫ります。

PROFILE
入社日
2022年04月01日
長所
とびっきりの笑顔と心からの元気
短所
ひとりで突っ走りがちなところ
すきなこと
ランニング(7年間ずっと継続中です)
おすすめメニュー
焼肉きんぐの「名物 きんぐカルビ」
おすすめの食べ方
レシピ通りに、網のまわりでゆっくり焼いて!

日本で自分の力を試したい

ベトナムから日本に来たのは留学のためだったそうですね。どういう経緯だったんでしょうか?

トンティエンフォン

もともとのきっかけは、自立したかったからです。高校を卒業したら、親元を離れるつもりでした。僕は家族のことが大好きで、だからこそ、これ以上経済的な負担をかけたくなくて。留学のことを両親に話したとき、母は特に心配していました。「留学費用も生活費も全部自分でどうにかしなきゃいけないよ。本当に一人でやっていけるの?」って。それでも、「自分の力で生きていきたい」っていう想いをきちんと伝えて、最終的には応援してもらえて留学したんです。

強い覚悟だったんですね。そして、留学中に『焼肉きんぐ』で働くことになったと。

トンティエンフォン

そうなんです。当時の店長が手取り足取り教えてくれて、少しずつできることが増えていくのが嬉しかったですね。最初はインターナショナル(外国籍)の私を敬遠していたパートナーも、だんだんと私の力を認めてくれて「フォンさんがいてくれないと」と言ってもらえたりして、自分の成長を実感していくのが楽しかったです。

そのまま社員として働くことになったきっかけは何ですか?

トンティエンフォン

正直、ベトナムでは新卒の労働条件が厳しくて、帰国しても自分がすぐに活躍できるイメージがなかったんです。その反面、『焼肉きんぐ』ではパートナーで副店長にまで昇格できて、自分の力に自信がありました。「自分だったらこんなお店をつくりたいな」と考えるようにまでなっていましたし、「これまで培った経験をここで手放すのはもったいない。店長になって自分のお店をつくりたい!」と思い、物語コーポレーションに入社することを決めました。

理想のお店をつくりたかっただけなのに

そうだったんですね。入社してから、大変だったことはありますか?

トンティエンフォン

最初は順調でした。お店の二番手として頼りにされている実感もあり、店長からは「フォンさんのおかげで、お店がすごく活気にあふれてるよ。圧倒的な存在感だね」と言ってもらえて。自分も「いつでも店長をやれるぞ!」と思っていました。実際、インターナショナルとしては最短の入社4カ月で店長に昇格することができて、お店に着任したんです。

4カ月とは、スピード昇格ですね!

トンティエンフォン

はい。お客様に満足いただける最高のお店をつくりたくて、張り切っていました。パートナー時代に働いていた店舗に配属されたので、何でも理解できていると思っていましたし、作業スピードも自分が一番速いんだという自負もありました。でも、そこからが本当の勝負だったんです。

一体、何があったんですか…?

トンティエンフォン

お客様満足度を優先しすぎて、一緒に働く仲間を置いてけぼりにしてしまったんです。たとえば、少しでも早く料理を提供しようとして勝手に食材の場所を変更したり、まわりに相談せず何でも自分だけで進めてしまいました。その結果、気付いたらお店の全員から避けられるようになってしまって。自分の頑張りがまわりから応援されないのが悲しくて、「こんなつらい想いをするために店長になりたかったわけじゃないのに」とさえ思ってしまいました。

想いを伝えて、まわりに耳を傾けて

その状況を、どうやって乗り越えたんですか?

トンティエンフォン

部下から「今のお店の状況やパートナーのことをもっと見てほしい」と言われたんです。その一言で、ハッとしました。お店を見渡したら、みんなの笑顔や元気がなくなってしまっていて。お店のことをちゃんと見ていたつもりで、何も見えていなかったことに気付きました。自分の力を過信しすぎていて、一人ひとりの個性やスキルを活かす視点や「お店はみんなでつくるもの」という意識が欠けていたんですよね。心から反省しました…。

自分の姿勢を見つめ直したんですね。

トンティエンフォン

あと、何より「私はこういうお店をつくりたい」とちゃんと伝えられていなかったんです。なので、一人ひとりと話す時間をとって、自分の想いを伝えて、相手の話に耳を傾けました。そうしたら、パートナーも自分と同じように「もっとお客様に喜んでほしい」と思ってくれていることがわかったんです。

想いは一緒だったんですね。そこからお店の雰囲気はどうなりましたか?

トンティエンフォン

徐々に変わっていきました。一人ひとりに笑顔と元気が戻って、みんなで相談しあえるようになりましたね。さらに、人員不足もなんとかしようと、インターナショナルのパートナー採用に力を入れました。最初は「トレーニングが大変になるんじゃないの?」とまわりから反対されましたが、そういった意見にも向き合いながら、「私が責任もって育てるから、みんなは営業に集中して」と伝え続けました。

意見を交わし合いながらお店づくりを進めたんですね。

トンティエンフォン

はい。その結果、2カ月で人員が整って、売上も利益もエリアで1位をとることができたんです。日本人もインターナショナルも関係なく、仲間みんなで一緒にやり遂げた成果だと思えて、本当に嬉しかったですね。

自分の姿で誰かの背中を押せるように

その経験を経て、今フォンさんが大切にしていることはありますか?

トンティエンフォン

まず、自己開示をすることですね。今は別のお店で店長をしていますが、「私はどんな人間で、どんな想いで働いているのか。どんなお店をつくりたいと思っているのか」をちゃんとみんなに伝えるようにしています。そして、口だけでなく自ら率先して行動することも大事ですね。それがパートナーとの信頼関係を築くカギだと思います。

最後に、フォンさんの「なりたい自分」とは?

トンティエンフォン

自分の価値を高め続けながら、誰かの力になれる人でありたいです。誰かの役に立てているという実感が、自信となり、自分を強くしてくれます。私の姿を見て、「フォンさんのような店長になりたい、目指したい」って思ってもらえたら、それほど嬉しいことはないですね。そうやって、自分の挑戦が誰かの一歩につながっていけばいいなと思います。