自分の意思で決めたことのなかった人生
今野さんは人財開発部で新卒採用を担当されていますよね。採用の際に、重視していることは何ですか?

その人が「本物の意思決定をしたいと思っているか?」を大事にしています。なぜかというと、物語コーポレーションは、自分らしい人生を歩もうという経営理念を掲げていて、そのためには、誰かに流されて決める「ニセモノの意思決定」ではなく、自分とちゃんと向き合って自分の意思で決める「本物の意思決定」が大切だと考えているからです。その積み重ねが自分の人生を充実させていくんですよね。でも、実は私自身も昔からできていたわけではなくて、「本物の意思決定」の価値を知ったのは、この会社に入社してからでした。
そうなんですか!ぜひ詳しく教えてください。

たとえば、中学生時代は本当はバスケットボール部に入りたかったけど、仲が良かった友達に誘われたから吹奏楽部に入ったり、母親に医療の専門学校に行ってみたらと勧められたから進路を決めたりと、それまでの私はまわりに流されて自分のことを決める人生でした。それに気付いたのは、物語コーポレーションの当時会長だった小林さんが語るセミナーに参加したときです。「自分の心が決めた本物の意思決定で就職先を選びなさい。誰かが決めた人生を歩むなんて楽しくないでしょう」という話を聞いて、こんな会社があるんだ!って本当にびっくりしました。
今までになかった価値観だったんですね。

はい。でも「自分で決めた人生だったら、もっと楽しく生きられるのかも!」と思えて、本物の意思決定をするために自分と向き合いました。自分がどうなりたいのか?どうしたいのか?をひたすら考えてたら、中学の部活でお世話になった恩師を思い出したんです。誰に対しても自分の意見を堂々と伝えるかっこいい人で、当時「こんな大人になりたい」とすごく憧れていたんですが、物語コーポレーションの採用イベントや面接でいろんな人と触れ合っていたら、その恩師に似た人が多い会社だと感じたんです。この会社に入ったら、私もこんなふうになれるかもしれないと思って、入社を決意したんです。

初めての意思決定は親とバトル!?
今野さんにとって、初めての自分の意思決定だったんですね。

そうですね。けど、母親に猛反対されたんです。医療系の専門学校から飲食の会社に就職するっていうことに驚いたみたいで。最低限の会話しかしてもらえなくなって、つらい時期が続きました。途中で心が折れそうになって、内定辞退を伝えたこともあるんです。でもそのとき、当時の人財開発部の人に相談していくなかで、これこそが「人からどう思われるか」を気にした結果のニセモノの意思決定で、自分が望んだ選択じゃないということに気付いたんです。
そこからどうされたんですか?

「やっぱり私は本物の意思決定がしたい!」という想いを貫いて、母親をもう一度説得しました。「成長している会社だから」とか「働いている人がいい人だから」っていう母親を安心させるための言葉は使わずに、「自分がなぜこの会社で働きたいか」「なぜこの人たちと一緒に働きたいか」という自分の意思を込めた言葉で伝えました。そしたらついに承諾をもらえて!内定承諾書に私と母親のサインをして提出した日のことは今でも覚えています。
実際に入社してからはどうでしたか?

「今野さんはどう思う?」とか「あなたはどうしたいの?」って聞かれることが多く、みんなが自分の意見を言う文化にびっくりしました。最初はなかなか自分の意見をパッと出せなかったんですけど、勇気を出して自分の想いや考えていることを伝えるようにしていきました。特に覚えている出来事は、当時誕生日のお祝い事でご来店されているお客様がいて、店長に「ぜひケーキを持っていきたい!」と伝えて、サプライズで一緒にお祝いをしたことです。お客様から「素敵なサプライズをありがとう!」って喜んでもらえたり、店長からも「お客様の想い出をつくれたね」と声をかけてもらえてすごく嬉しくて。意思決定って、大きな出来事だけじゃなく日々の中にもたくさんあって、それを自分で決めるからこそ人生が充実するんだと気付きました。

「私はこうしたい」をあふれさせる日々
自分の意思で行動したことでお客様に喜んでいただけるのって、とても嬉しいですよね!

そうなんです!あと、大変だったのは、副店長のときに新店オープンのホール責任者を任されたときですね。当時、新店オープンのマニュアルがまだなくて、トレーニングのスケジュールや内容を全部自分たちでゼロから作らなきゃいけなかったんです。自分がどういうお店をつくりたいか、そのためにパートナー(アルバイト)をどう教育するか、それを自分がどういう言葉で伝えるのかなど、とことん考えて一つひとつ意思決定していきました。
それはすごく大変そうですね・・・。

はい、本当に(笑)でも、1日1日が充実していて、すごく楽しかったです。やっぱり自分が意思決定をすると、お店をより良いものにしたいとか、みんなにこうなってほしいとかっていう責任感がどんどん湧いてきて。オープン前の研修に本気で参加していない人がいたら、個別に呼び出して、相手の話をしっかり聞きつつも、「私はあなたにこういうふうになってほしいと思ってる」と自分の想いをハッキリ伝えたりもしました。入社前の自分だったら、相手からどう思われるか怖いなと思って言えなかったり、遠まわしな表現で言いたいことを伝えきれなかったりしていたと思います。
それは大きな変化ですね!

正直に自分の想いを表現する私を見て、まわりもだんだんと自分の想いや考えを共有してくれたり、お店の改善提案を出してくれたりするようになって嬉しかったですね。みんなで議論をすると、意思決定の精度も上がっていくのを感じました。
それって、どういうことでしょうか?

自分一人だけの考えだと間違っていることに気付けないこともあるんです。「私は逆にこう思うよ」とか「こっちの方がいいんじゃない?」って意見をもらうと、自分じゃ思いつかなかった考えや価値観に触れることができて、もう一度自分の考えを整理したりして、意思決定がより良いものになっていくんです。店長をしていたときも、私が一人で頑張るんじゃなくて、仕事を振り分けてみんなで一緒にお店をつくっていく方が、いろいろな議論を重ねてより良い意思決定ができて、自分もまわりもすごく充実した日々を過ごせていたと思います。
自分の想いに嘘をつかない人生を
「自分の意思で人生を決めよう」と思っていなかったら、どうなっていたと思いますか?

今みたいな充実した人生はきっと歩めていませんね。人が決めた道を選んでいたら、失敗したときにはその人のせいにしてしまってたと思います。自分で意思決定するからこそ、失敗しても後悔しないんです。今、私は人財開発部でどんな学生と面談しても、自分の経験や想いを堂々と自己開示できる自信があります。私と話をして、自分の意思決定について改めて真剣に考えてくれる学生もいて、それがすごくやりがいに感じています。
最後に、今野さんの「なりたい自分」とは?

まわりにプラスの影響を与えられる人です。これまで意思決定をするうえで一番大切にしてきたのは、自分の想いに嘘をつかないことです。自分はどうしたいのか?を考え尽くして、ちゃんと自分で意思決定すること。それが人生を楽しくするだけでなく、豊かで幸せなものにしていくと思うんです。本物の意思決定で人生を充実させている私の存在で、誰かが「こんなふうに自分らしく生きたい」と思ってくれたら、とても嬉しいなと思います。