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仲間を信じきれなかった失敗から学んだ、「可能性に蓋をしない」教育方法とは

ゆず庵事業部 エリアマネジャートレーニー 髙橋太郎

仲間を信じきれなかった失敗から学んだ、「可能性に蓋をしない」教育方法とは

一人ひとりの「自分物語」を紹介する「みんなの物語」。今回は、ゆず庵事業部でエリアマネジャートレーニーを務める髙橋 太郎(たかはし たろう)さんに登場いただきました。物語コーポレーションにキャリア(中途)入社後、前職での経験を活かして、約半年で店長に昇格した髙橋さん。理想のお店を目指して人財育成を試みるも、思わぬ挫折を味わったと言います。いまでは教育の第一人者としてゆず庵全体に影響を与え、今年の全社表彰で最優秀プレジデント賞を受賞した髙橋さんが語る、失敗と成功の物語をお届けします。

PROFILE
入社日
2021年09月01日
長所
頑固で負けず嫌いなところ
短所
計画を立てるのが苦手なところ
すきなこと
料理
おすすめメニュー
ゆず庵の「厳選豚バラ」
おすすめの食べ方
出汁をしっかり切ってから「ゆずぽん酢」や「深煎りごまだれ」を上からかけて食べる

地域一番店づくりに尽力した前職時代

髙橋さんは、前職も飲食の会社で働かれていたんですよね。

髙橋太郎

はい。客単価1.5万円~2万円くらいの高級焼肉店から居酒屋、カフェまでいろいろな業態の責任者を経験しました。小さな会社でしたが、地元で1番の飲食店を目指すという理念がかっこいいと思い、「ナンバーワンになるためにはこうあるべき」と私が考えることを部下や従業員にも落とし込んでいました。ときにはかなり厳しいことも伝えていたんですが、「1番を目指す」という思想に共感した人たちばかりでみんな一生懸命ついてきてくれて、その中で仕事をするのはとても楽しかったですね。

なぜ退職して物語コーポレーションに転職されたんですか?

髙橋太郎

コロナをきっかけに、今後のキャリアや自分の働き方を考え直して、転職を決意しました。ちょうどそのころ、テレビのドキュメンタリー番組で物語コーポレーションが取り上げられていて、社長の加藤さんと社員の方々が会議をしているシーンを見たんです。社長の前でもみんなガンガン自分の意見を言っていて、熱い議論が繰り広げられていました。直感的に「これは面白い社風だ!ここで働きたい!」と思って入社しました。

パートナーの涙で気付いた自分の過ち

入社して約半年で店長昇格をされていますね。物語コーポレーションのお店の店長として、どんなことに取り組まれたんですか?

髙橋太郎

まずはパートナー(アルバイト)教育に力を入れていきました。前職のようにみんながやる気にあふれるお店をつくりたくて、自分から率先して「こんなお店にしたいんだ」と理想像を語ったり、パートナーが役職取得を目指すためのトレーニングを進めていきました。店長としても信頼をしてもらえて、上手くいっていた矢先、異動で別のお店に配属されたんです。そこで盛大につまずいてしまって・・・。

いったい何があったんですか?

髙橋太郎

得意なはずのパートナー教育が、全然うまくいかなかったんです。そのお店は、無断欠勤や営業中の私語などが目立っていてお客様から厳しいご意見をいただくこともあり、お世辞にも「良いお店」とは言えない状態でした。そこでお店の雰囲気を良くしようと行動しても、まわりは「なんか店長一人で張り切っているね」みたいな冷めた目をしていて。トレーニングを進めようとしても、「やる意味あるんですか」と言われてしまったり・・・。それなら、と新人を採用しても、全然定着しなくて、なかなか改善が進みませんでした。もう打つ手がなくなってしまって「自分がこのお店でできることはないかもしれない」と、諦めてしまったんです。

つらい状況ですね。それを乗り越えたきっかけは何だったんですか?

髙橋太郎

諦めたまま半年が過ぎたころ、パートナーから「私はお店がずっとこの状態なのは嫌です。髙橋さんの理想のお店を一緒につくりたいです」と涙ながらに訴えられて、ハッとしました。従業員が頑張ってくれないと思い込んで勝手に諦めてしまっていたけど、そういう気持ちを持っている人がちゃんといることに気付けていなかった。自分は店長なのに、パートナーのことを信じきれていなかったことに気付いて、恥ずかしくて・・・。心から情けない気持ちになりました。

お店のことを想ってくれていたパートナーの存在に気付けたんですね。

髙橋太郎

はい。そこでもう一度お店を立て直そうと決意して、まずはパートナー全員と正面からちゃんと向き合おうと行動しました。「みんながお客様のために本気になれるお店をつくりたい。そのためにみんなにはこうなってほしい!」と諦めずに伝えたり、新人もベテランも関係なく、どんな場面でも「お客様のことをまず考えよう!」と言い続けて意識づくりをしました。そしたら、私の想いに共感したパートナーが少しずつ協力してくれるようになって、「次はこれをやりますね」「お客様にこういうサービスをしてみてもいいですか」と言ってくれるようになったんです。

人財育成の第一人者として覚醒

少しずつお店が変わっていったんですね。

髙橋太郎

はい。そこからは、一人ひとりのポテンシャルを見極めて、長所をより輝かせる教育を心がけました。たとえば、作業が遅くて引っ込み思案なパートナーがいたんですが、その人のまじめさや丁寧さなど、良いところをちゃんと伝えて褒め続けたら、いつの間にかそのパートナーが自分から進んで後輩にOJTをしていた、なんてこともありました。最終的には「役職取得を目指したいです!」と言ってくれて、実際にリーダーに昇格をしてさらに活躍してくれたんです。パートナーに自信をつけてもらうことで離職率も下がって、お店のチームビルディングもさらに進んでいきました。その結果、お客様満足度はゆず庵の中で常にトップクラスを維持するようになり、今年の年始には売上記録を更新することもできました!みんなでハイタッチをして喜びましたね。

それは嬉しいですね!その功績が評価されて、全社表彰で最優秀プレジデント賞を受賞されたんでしょうか。

髙橋太郎

そうですね。あと、自分の教育ノウハウを活かした施策をゆず庵事業部全体に展開したことも評価につながったと思います。当時、ゆず庵では新人パートナーが1週間以内で辞めてしまう割合が他事業部に比べて高くて課題になっていたので、教育する担当者が使用する専用マニュアルを作成したんです。内容は、新人パートナーに対するコミュニケーションのコツやトレーニングの進め方をステップ別にまとめたもので、これを使えば誰でも相手に合わせた教育ができるというツールです。

すごいですね!なぜそのマニュアルをつくろうと思ったんですか?

髙橋太郎

それまでのマニュアルは、教育される新人パートナー側に向けたもので、内容は覚えるべき作業やルールなどが記載された最低限のものでした。新人パートナーに作業を覚えてもらうことは確かに重要ですが、私はそれ以上に「ここで働くのは楽しいな」とか「自分はこのお店の仲間なんだ」と感じてもらえる環境づくりが大切なんじゃないかと考えたんです。新しいマニュアルを実際に自分のお店で使ってみたところ、採用したパートナーの9割以上が定着したという実績が出せて、いまでは全国のゆず庵で使用されています。

髙橋さんの想いがお店を超えて、全国のゆず庵にも波及したんですね。

髙橋太郎

はい。最優秀プレジデント賞の表彰で名前を呼ばれたときは、本当に心から嬉しかったです!昔の私のように、思うように教育が進まなくて困っている店長たちの力になっていることもとても喜ばしいです。正直、かつての「ついてこれない人たちは離れていっても仕方ない」と思っていた自分のままだったら、決してこの成果は得られなかったと思います。

一人ひとりの可能性に蓋をしない

教育に対する価値観が根本から変わったんですね。

髙橋太郎

そう思います。いまは、相手の成長を心から信じて、個対個で向き合うことができるようになりました。昔の自分と比べると、圧倒的に自己開示の量や質も変わっていると思います。次のステップとしては、店長が自分のつくりたいお店をちゃんと実現できるようにサポートをするエリアマネジャーを目指して、日々勉強しているところです。

最後に、髙橋さんの「なりたい自分」とは?

髙橋太郎

イキイキと楽しく働く人を増やしていける自分になりたいですね。そのためには、「どうしたらこの人が輝けるか?」をまわりの仲間に対して常に考えて、その自分の想いを言語化して相手に伝えることが大事だと考えます。どんな人でも可能性に蓋をせず、これからも誠心誠意しっかりと向き合っていきたいです。