店長昇格を目指して奮闘する日々
中川さんはもともとパートナー(アルバイト)として『お好み焼本舗 塩尻店』で働かれていたそうですね。
中川美優
はい、高校生のときから働いていました。高校卒業後は、一度ほかの飲食店に就職したのですが、やっぱり『お好み焼本舗』(以下、おこほん)での仕事が楽しくて。6年前に中信興業に社員として入社して、おこほんに戻ってきたんです。他社も経験して成長したからこそ、今の自分がどこまで通用するのかも試してみたかったんですよね。
そうだったんですね。店長になりたい気持ちもあったんでしょうか?
中川美優
もちろん、ありました。なので、「自分が店長だったらどうするか」を想像しながら毎日仕事をしていましたね。営業中はどんな優先順位で動くのか、どのようにお客様や従業員の動きを先読みするのかなどを当時の店長に聞いて、実際に真似をしてみたり。毎日少しずつ成長している実感がありましたし、店長になりたい気持ちもどんどん強くなっていました。そうしていたら、いきなりチャンスが訪れたんです。
何があったんでしょうか?
中川美優
社内の人事異動で、店長のポストが空いたんです。当時の自分は店長になる努力はしていましたが、確かな自信があったわけでもなく、自分の力で売上や利益が生み出せるかも不安でした。それでも、店長をやりたいという気持ちが勝って、「私が店長をやります!」とすぐに立候補しました。そのとき、上司から「中川さんならそう言ってくれると信じていた。きっとできるよ」と、背中を押してもらえたことが嬉しかったですね。
パートナー教育って楽しい!
店長になって、最初はどんなことに取り組まれたんですか?
中川美優
まずは、従業員との関わり方を変えていきました。店長になる前もパートナーの教育を担当することはあったんですが、教育の楽しさみたいなものがあんまりピンときていなくて、最低限の作業を教えて指示をするくらいでした。たぶん、まわりには「怖い人」という印象を与えてしまっていたと思います・・・。でも、店長になったからには、もう少し人としての温かみをもちたいと思って、パートナーを褒めて感謝を伝えたり、何気ない雑談も自分から話しかけたりするようになりました。
意図的にコミュニケーションの取り方を変えたんですね。その結果どうなりましたか?
中川美優
パートナーから「雰囲気が柔らかくなりましたね」と言われたり、相手から話しかけられることが増えました!みんなとの距離が近くなって、教育するのも少しずつ楽しくなっていったんです。一番印象に残っているのは、引っ込み思案で消極的だったパートナーが、積極的に自分で考えて動けるようになったことです。
どんなアプローチをされたんですか?
中川美優
相手に合わせて教え方を変えたんです。当時、私は「できるようになるためにはとにかく行動するしかない」という考え方で、パートナーにもそういう指導をしていました。でも、そのパートナーは慎重派で、「まずいったんやってみる」という行動に対するハードルをすごく高く感じていたんですね。なかなか思うように教育が進まなかったので、作業を細かいステップにわけて一つずつじっくり教えるようにしてみました。スピード感より正確さを大事にして、良かった点や改善点を一つひとつ丁寧に伝えていったら、指示がなくても自分で考えて行動してくれるようになったんです。
それは嬉しい変化ですね!
中川美優
そうなんです。そこから、自分のやり方を押し付けるんじゃなくて、「この人は何につまずいているんだろう」とか「もっとこうした方がわかりやすいかな?」と考えるようになって、自分の教え方の幅がどんどん広がっていきました。いろんなパートナーが活躍している姿や、「見てください!できるようになりました」と笑顔で報告してくれる様子を見ると、「教えて良かった」とこちらも嬉しくなりますし、教育が好きだなと心から思えるようになりました。それに、教えることによって自分自身も成長していることに気付いたんです。そこから、ますます教育にのめり込んでいきました。
教育の輪を広げ、仲間とともに成長
教育の楽しさに気付いた中川さんが、次に行ったことは何ですか?
中川美優
勤務歴の長いパートナーの教育に手をつけました。具体的には、ベテランパートナーに新人パートナーの育成を任せられるようにしたかったんです。私ひとりでは教育のスピードに限界があるし、教育の楽しさがわかってきたからこそ、まわりのみんなにもこのやりがいを知ってほしいという気持ちがありました。それでも、最初は「新人教育なんて責任が重い」と嫌がるパートナーが多くて・・・。諦めずに働きかけ続けました。
具体的にどうされたんですか?
中川美優
「怖がらなくても、私がフォローするから大丈夫だよ」とか「うまくいかないなら、次はこうしてみたらどうかな?」と伝えて、相手に寄り添ったアプローチをしていきました。一人、二人とトレーナーが増えていって、「教育って楽しいですね!自分が教えた人が活躍してると嬉しいです」と言ってもらえたこともありました。お店全体の教育力が上がって、みんなで成長の実感が得られたことがすごく嬉しかったです。
教育の楽しさがパートナーにも広がっていったんですね。
中川美優
楽しさを見出せてなかった以前の自分からは、考えられないくらいです。一人ひとりをこんなに成長させられることもなかったし、もちろん私自身もここまで成長できなかったと思います。今後は、私がいなくても、お店が安定した状態で、どんなお客様も喜ばせられるようにしたいですね。
おこほんでの経験を糧にして
「私がいなくても」ということは、今後異動の予定があるのでしょうか?
中川美優
いえ、実は年末で退社する予定なんです。驚かせてしまってすみません。今年の夏に婚約者を事故で亡くしてしまったことがきっかけで、自分のこの先の人生を改めて見つめ直すことにしたんです。大好きなおこほんを離れることに心残りもありますが・・・。いったん仕事から離れて、自分が何をやりたいのか、どういう人生を歩んでいきたいのかをじっくり考えます。おこほんで学んだ、挑戦することの大切さと、みんなとともに成長する喜びを今後の人生の糧にしたいですね。
そうだったんですね。新たな一歩を踏み出そうとしている中川さんを心から応援します。最後に、中川さんの「なりたい自分」とは?
中川美優
だれかに勇気を与える人になりたいです。多くの人は挑戦が怖いと思っていると思います。私も店長になるときは自信がなかったし、不安もたくさんありました。けれど、何事もやってみなきゃわからないと思うんです。うまくいかないかもしれないけど、やってみることで得られるものは絶対にあると伝えたいですね。どんなことでも生きている限りは、挑戦し続けられます。そんなふうに、人の背中を押せる存在でありたいです。