ラーメンと中華を合わせた「1兆円市場」を狙う理由
『町中華 丸福飯店』のオープン、おめでとうございます!まずはこの新業態を立ち上げた狙いから教えてください。
加藤央之
ありがとうございます。『町中華 丸福飯店』は、私たちが「郊外版町中華」と呼ぶ新しい業態です。狙ったのは、約5,000億円のラーメン市場と同じく約5,000億円の中華料理市場の間に空いていた「ラーメンが目的来店になる中華料理店」というポジションです。既存の中華チェーンさんは中華料理のマーケットで非常に強いのですが、ラーメンそのものが目的来店になっているわけではありません。一方で、現在のラーメン専門店は1杯1,000円前後が当たり前になり、日常使いするには少しハードルが高くなっています。そこで、両方の市場が隣り合うマーケットのど真ん中に、絶妙なバランスで割り込んでいこうと考えました。
ラーメンと中華、双方のニーズを総取りするようなイメージですね。
加藤央之
そうです。3年前に『濃厚中華そば 餃子 丸福』というラーメン専門店を開発したのですが、お客様にこだわりを伝えきれなかった経験があります。その反省を活かし、今回は「町中華」という明確なコンセプトと、圧倒的にわかりやすい価値を打ち出しました。
安さに甘えない専門性と、利益より提供価値を優先する覚悟
メニューをみると、看板商品の「丸福中華そば」が税別490円!とてもリーズナブルで驚きました!
加藤央之
この物価高において、ワンコインでラーメンが食べられるという分かりやすさは、それ自体が大きなインパクトになります。ただ、安いだけでは長続きしません。私たちはツーコインのラーメン専門店に負けない「専門性と付加価値」をこの価格で提供することにこだわっています。
具体的には、どのようなこだわりがあるのですか?
加藤央之
店内に製麺スペースを配置し、すべての麺を店内で打ってお客様に訴求しています。490円のラーメン自体には驚かなくても、「店内で製麺している」という価値が見えることで、専門店としての説得力が生まれるんです。さらに、他社から麺を購入しないため低コストが実現し、浮いたぶん商品の価値へ還元できます。スープも店舗で豚や鶏のガラを炊き、昔ながらの懐かしさがありつつも専門店に負けない奥深い味わいを実現しました。
ラーメンの魅力もさることながら、メニューにはレバニラ炒めや回鍋肉などの中華料理も存在感がありますね。
加藤央之
その中でも「厚切りレバニラ炒め」(税別650円)は家庭で再現しにくく、外食ならではの価値が出る看板メニューです。こうした単品の魅力に加え、1,000円以内に収まるお得なセットメニューも大きな差別化要素です。「厚切りレバニラ炒め」にライスとザーサイ、中華そば(小)がついた定食は、税別890円で提供しています。しかも、ライスは大盛り無料です。1品で1,000円なのと、ラーメンも中華料理も食べられて2〜3品で1,000円以下なのとでは、圧倒的に後者の方が満足度は高くなりますよね。
すごいコストパフォーマンスです!ただ、炒め物が入るとオペレーションの負荷も高くなりそうです・・・。
加藤央之
たしかに、提供速度や順番をそろえる難しさはあります。でも、最初から運営優先の効率ばかりを求めていたら、お客様にとって価値あるものは提供できないと考えています。まずは利益よりも、お客様に喜んでいただける提供価値を守り抜きたいのです。それが差別化になり、最終的に売上や利益につながっていきます。これが、物語コーポレーションがずっと大切にしてきた業態開発の思想であり、プライドです。
そのこだわりや物語らしさは、店構えや空間の雰囲気からも伝わってきます。
加藤央之
内外装も、細部までこだわりました。白、赤、木目を基調にしつつ、赤や黄色を使いすぎないことで「クラシカルで昔ながらの中華そばが旨そうな町中華」の風情を表現しています。のれんにも大きく「中華そば」と出すことで、「ラーメンが目的来店になる町中華」というコンセプトを体現しています。
郊外ロードサイドから目指す未来
今後、丸福飯店は物語コーポレーションにとって、どのような存在になっていくのでしょうか。
加藤央之
将来的に当社をけん引していく新たな柱となる存在を目指します。当社には『焼肉きんぐ』や『丸源ラーメン』のように右肩上がりで成長している強力な既存ブランドがありますが、これらの主力ブランドが20年、30年先もずっと同じように勝ち続けられるかというと、それは決して簡単なことではありません。時代や市場が変われば、求められるものも変わります。だからこそ、既存ブランドが強い今のうちから、次なる成長エンジンを開発し、仕込んでいくことが必要不可欠なのです。難易度は高いですが、税別490円という低価格のボトムで勝負できる丸福飯店だからこそ、巨大な市場を切り拓いていけると確信しています。
最後に、丸福飯店の出店ポテンシャルや展望について聞かせてください。
加藤央之
現在、オープンから4カ月が経ちますが、非常に手応えを感じています。主戦場は私たちが得意とする郊外ロードサイドですので、駅前の小型中華チェーンさんとは戦わず、広い駐車場を構えてファミリー層やシニア層を獲得していきます。今後は、中部のみならず関東圏のロードサイドにも出店したいですね。将来的には、500店舗以上も狙える大きなポテンシャルがあると信じています。クリアすべき課題もまだまだたくさんありますが、これからもしっかりと育てていきたいですね。
加藤さん、ありがとうございました!