【肉そば20周年企画②後編】肉そば開発者 堀さん × 商品開発部 丸源担当 飯島さんの対談!

【肉そば20周年企画②後編】肉そば開発者 堀さん × 商品開発部 丸源担当 飯島さんの対談!

『丸源ラーメン』の看板商品である「熟成醤油ラーメン 肉そば」が今年20周年を迎えました。

「肉そば」の開発者 ほり まことさんと商品開発部の現丸源担当の飯島いいじま 真一郎しんいちろうさんによる「肉そば対談」の後編をお届けします。

 

▼前編はこちら!

【肉そば20周年企画②前編】肉そば開発者 堀さん × 商品開発部 丸源担当 飯島さんの対談!

 

いつでもおいしい、変わらない「肉そば」のために、変えていくべきこと

堀さん:商品コンセプトそのものは、今も変えていなくて、守るべきものとしてずっと守ってきた。

とはいえ、商品自体を全く変えていないかっていうとそうではないよね。

たとえば、スープの「かえし」は「肉そば」を開発して以来、実は何十回も変えてきた。

作り手による味のブレ幅をできるだけ減らすために塩味を調整したり、

時代によって変化する消費者の味覚に合わせて背脂の量を減らしてみたり。

 

飯島さん:数年前、世の中では「濃い味がおいしい」という流れがありましたよね。

市販のお茶も濃いめの商品が出たり。

 

堀さん:そこで、「消費者の味覚に合わせずに繊細な味をキープする」という変えない選択肢もあった中、

丸源は時代に合わせて「もうすこしハッキリした味にした方がいい」とか

「熟成醤油の醬油感をもっと感じさせたい」とか

実際は、少しずつ味を変えて開発を進めていた。面白いことにね、どんなにおいしく改良しても、

お客様って「変わった=おいしくなくなった」って感じちゃうんだよね。

なぜなら、「今がおいしい」と思っているから!「変わってくれた」じゃなくて「変わっちゃった」になる。

大幅に味を変えると、「おいしくなった」って言う人と「まずくなった」って言う人が半分ずつくらいいるかな。

だから、分からないところで、分からないように変えるのがポイント!

「今の味」から「理想の味」にするまでに、半年から1年くらいかけて、3段階くらいに分けて味を変えていく。

いきなり理想の味に変えると誰もが気付いちゃうからね。たとえば、醤油感を強めるときは、

醤油の味が強まっただけで塩分濃度は変えてなくても「塩辛い」と感じてしまうから、

そういうときは旨味のバランスを調整しながら変えてみたりとか。

「おいしい」って言われ続けるためには、基本コンセプトは変えないけれど、

分からない部分で少しずつ変えることが重要。

 

飯島さん:自分が『丸源ラーメン』の商品開発担当になったのは4年前ですが、

そのときから「肉そば」だけでも3回変わってますね。

堀さんのおっしゃる通りで、何か1つを変えるとすべてのバランスが変わっちゃので、

「かえし」を調節するなどして、分からないようにする必要がある。

あと、僕が着任したころは今よりも店舗が40店舗くらい少なかったけれど、

TVなどへの露出が増えて、「肉そば」を知られることが増えてきて、

「地域によって『肉そば』の味が違うよね」と言われることも少なからずありました。

どこに行っても丸源の味はこれ!という状態にしなければならないので、いまはその調整中です。

一番最初の「肉そば」はかなり多くの背脂が入っていましたよね。

▲開発当時の「肉そば」。当初は期間限定メニューとして登場。

 

堀さん:そんなに入ってたっけ?!

 

飯島さん:写真を見た感じでは、量が全然違いますね(笑)

 

堀さん:まぁ、最初の「肉そば」はメニューの中における役割が今と違ったからね。

もともと期間限定メニューで、「あっさり」と「こってり」の2種類のラーメンが選べるという設計の中で、

「肉そば」はガッツリ系商品として、「こってり」を味わうラーメンという役割だったから。

今は、中心的なポジションという役割を果たす看板商品だから、

「誰が食べてもおいしい」と感じる油脂分や味付けでないと。そういう部分でも変わってきたよね。

 

開発者・堀さんの顔が見える「肉そば」POPの役割とは

堀さん:いまだに知り合いたちが、POPにいる僕を写真に撮って送ってくれるんだよね。

今は「肉そば」の開発に携わらなくても、なんとなく「参加している」という気持ちになれるからうれしいよ!

それと、「ラーメン屋」ってやっぱりいくらか「店主の匂い」がしないと、「生業感」がなくなるんだよね。

ラーメン屋って面白いもので、チェーン展開を拡大して店舗を増やしていくなかで、

「店主の匂い」とか「生業感」「老舗感」「手作り感」っていうものもしっかり表現できないと、

「おいしい」がつくりにくい商売だってことに、僕も何年か開発を続けて、分かったんだ。

その「おいしい」をどうつくるか?がとても重要で、

実は『丸源ラーメン』って「おいしい」と思わせる仕掛けが、無数に散りばめてある。

「おいしい商品」は飯島さんがつくってくれると思うけれど(笑)

商品以外で「おいしい」をつくるパーツの1つとして、POPが役割を果たしていると思っている。

そういう細かい仕掛けを、時代の変化に対応しながら変えていくことも重要なんじゃないかな。

 

「肉そば」に次ぐ看板商品の可能性は?

飯島さん:僕は最初、商品開発部に来たときは、「次の『肉そば』をつくるんだ!」って先輩たちに言われて、

自分も「よし!」って意気込んでいたけれど、「肉そば」の誕生秘話を掘り起こせば掘り起こすほど、

営業の皆さんの「肉そば」を売る気合いを見ても、世の中の流れを鑑みても、

よっぽど「肉そば」を超えられる商品ってつくれないんじゃないかなっていうのが正直な気持ちです。

ただ、どうやったら「肉そば」がもっとおいしくなるか?はまだ無限に突き詰められると思っています。

たとえば、お客様の嗜好ってどんどん変わっていくので、

もっと太くて噛み応えのある麺のほうがおいしいかもしれないとか、

玉ねぎの薄さも、実はもうちょっと厚めで食感があるほうがおいしいのかもしれないとか。

世の中で「肉そば系ラーメン」ってジャンルとして呼ばれるくらいになるために、変わるべくして変わっていく、

進化させていくことが「『肉そば』を超えていく」ってことではないかと僕は今思っているんですよね。

何かを壊そうではなく、もっとおいしくなるために、貪欲に果敢にチャレンジしていくべきかなって。

 

堀さん:飯島さん、ぜひお願いします!!

そもそも、「肉そば」じゃないラーメンをつくるなら、違う業態でやったほうがいいだろうね!

ここまで『丸源ラーメン』=「熟成醤油ラーメン 肉そば」っていうブランディングで走ってきて、

「やっぱり違ったね」という結論になることは、僕はおそらくあり得ないと思っている。

『丸源ラーメン』と「肉そば」って、例えるなら親と子みたいな関係だよね。

どうやって次なる「肉そば」を生むかっていうより、どうやって育てていくかのほうが重要かなって。

もし「肉そば」が育たない環境であるならば、育つように環境を変えていく必要もあると思う。

看板を含め店舗外観や、食べさせ方や売り方などを変えるなど、さらに育つ環境をどうつくるか

それを考えると、まだまだ開発できることはあるなぁと思います。

 

「肉そば」の新たな可能性を求めて

飯島さん:「肉そば」が育っていく段階で、「味噌肉そば」など「○○肉そば」を

期間限定でやっていた時期がありましたよね。

堀さんなら、今の「肉そば」を派生させてしく「○○肉そば」をつくるとしたら、どうしますか?

 

堀さん:何をつくるだろうなぁ(笑)

まぁ、当時は「肉そば」の認知度がまだない段階で、「塩」とか「味噌」とか別の味をつくるのは

時期尚早だったんだよね。「熟成醤油」から離れる「肉そば」をつくることが、

育つ環境としては良くない。何をやりたいのか分からなくなるから。

だから、「肉そば つけ麺」や「辛肉そば」など、「熟成醤油ラーメン 肉そば」の枠から外れないようにすることが

丸源のブランドを崩さない開発のやり方だったから、それをずっとやってきたけれど、

そろそろ「醤油」から離れることは悪い話じゃないと

それがどれくらいお客様の期待に応えられる「肉そば」になるのか?などを考えて、

試行錯誤してみるのはいいと思いますよ。

▲さらなる味を求めて挑戦を続ける!

 

飯島さん:「醤油」から離れたくないってことではないのですが、「肉そば」って和コンセプトの商品なので、

そのコンセプトを外してまでチャレンジする必要はあるのか?と悩むことはあります。

たとえば、にんにくマシマシな「スタミナ肉そば」という商品をつくったとして、

それは「肉そば」の仲間なのか?「肉そば」の世界観を壊してしまわないかって。

やってみたいという気持ちはあるんですが、なかなか実現せず、改善会議にも出せていない感じです。

会議では、「そろそろ代わり映えがほしいよね」「『肉そば』の新しいカテゴリを生みたいよね」

って声も出始めてはいるんですが、「これだ!」というものがイマイチなくて・・・

しっかり育っている商品だからこそ結構難しいなと。

 

堀さん:うーん・・・「肉そば」でそういう味の展開をしていくのは難しいことだと思うね。

どちらかというと、やっぱり「肉そば」を取り巻く環境をどう変えるかとか、育てていく方の開発が重要だよね。

あとね、「商品を作ろう!」と思って商品を作ると、実はあまり良くないんだよ。

今、日本ではラーメンに何が求められているかとか、どういうニーズが動いているかとか、

お客様が求めていることの方から商品を組み立てていくことをしていかないとね。

そうすれば、もうちょっと先の開発ができるんじゃないかと思います!

 

飯島さん:そうですね!堀さんや歴代の担当者の皆さんが育てた「肉そば」を

これからも長く愛され続ける商品にしていけるよう、世の中のニーズをとらえながら開発していきます!

中国から見ていてください!(笑)

 

 

以上、「熟成醤油ラーメン 肉そば」の販売開始20周年を記念し、

「肉そば」の開発者 堀さんと、現在の『丸源ラーメン』商品開発担当 飯島さんの「肉そば対談」をお届けしました!

これまで愛され続けてきた「肉そば」が、さらに多くの人に愛される商品として育っていくのが、とても楽しみですね!

さて、次の週末は『丸源ラーメン』に、期間限定の「特製 肉そば」を食べに行こうかな!(笑)

▲「肉そば20周年企画」の期間限定メニュー「特製 肉そば」。販売期間:9月5日(木)~10月2日(水)

ドッカンねぎ、メンマ、チャーシュー、味玉、柚子こしょうおろし、焼海苔が贅沢にトッピングされています!

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