【海外で新業態誕生】中国事業の最新情報をお届け!
2024年10月23日(水)、中国・上海で新業態がOPENしました!
今回は、海外ブランドの業態開発に携わる上級執行役員の堀 誠(ほり まこと)さんに、新業態の紹介とともに、現在の中国事業について教えていただきました!
──現在の中国事業の展開状況について教えてください
堀さん:いまは『北海道 蟹の岡田屋総本店』『焼肉専門店 肉源 焼肉王』『肉肉大米』を展開しています。それと、今回OPENした新しい業態の計4ブランドですね。2022年12月に1号店がOPENした『肉肉大米』は、今では上海だけでなく深圳や杭州、北京、南京など直営・FC合わせて19店舗を展開しており、非常に好調です!
──『肉肉大米』は2024年10月には香港にも出店しましたね!人気の秘訣は?
堀さん:『肉肉大米』は店内で挽いた肉を目の前で焼き上げるハンバーグを提供しているのですが、「中国でハンバーグがブームだから売れた」というわけではないんですよね。まず、中国の食文化において、消費者が求めるものは何か?を徹底的に調査したところ、「肉をおかずに白米を食べる」という最大マーケットを発見しました。その中で、焼肉やステーキとは異なる食べ方を提案することが1つの差別化になると考え、それまであまりなかったハンバーグという形で提供することにしたのです。さらに個食や専門性の高い食事を求めるニーズにも対応すべく、味や個数のカスタマイズができるようにし、カウンターの目の前で調理した出来立てを楽しんでいただける業態として誕生しました。
──『北海道 蟹の岡田屋総本店』は、2024年4月に出店した静安寺久光店ではリブランディングを行い『蟹料理専門店 岡田屋』として出店したと聞きました。詳しく教えてください!
堀さん:これまでの岡田屋は、「蟹だけでなく何でもいろいろ食べられる日本料理屋」という居酒屋要素の強いブランドでしたが、静安寺久光店では、蟹料理専門店としての専門性を高めようと思ったんです。近年の中国は景気が減退していて、そういうときは消費者の中で「選択を間違えたくない」という心理が働くんですよね。「何でも売っている総合店でほしいものをいろいろ買う」ではなく「ほしいものを売っている専門店で間違いのないものを買う」になっていく。そのため、より専門性を高めることで付加価値を付け、「蟹料理といえば岡田屋だ」と思ってもらえる業態にしたいと考え、リブランディングしました。
具体的には、専門性を感じさせる内外装に変更し、メニューにおいては何でもいろいろ食べられる居酒屋のような要素を、高級店で出てくるような専門性の高い商品をお手頃価格で食べられるというメニューラインナップにしました。「物語の開発理論」だと「ハイイメージ付大衆商法」と呼ばれるものですね。商品の価格自体はそこまで大きく変更していないのですが、客単価が700元(日本円で約15,000円)くらいで安定するよう設定し、憧れを持ってもらえるようなブランドづくりをしています。
──今回の新業態について、ぜひ教えてください!
堀さん:2024年10月23日にオープンした新業態『天天 天麩羅専門店』は、上海の「美羅城 Metro City」というショッピングモールに出店しており、20代~30代の女性客を中心に、個人でもカップルや友人同士でも楽しんでいただけるように開発しました。『肉肉大米』と同じようなカウンタータイプのお店で、目の前で揚げた出来立てのエビやイカ、肉、野菜などの天ぷらと、店内で精米した炊きたてのご飯、汁物をセットで提供します。価格によって天ぷらの種類が変わりますね。
見える調理や出来立ての料理という本物感と、それをお手頃価格で楽しめるニーズは、『肉肉大米』に引き続き捉えていこうと思っていました。揚げ物は、中国消費者にとっては「自宅で調理するものではなく外食で食べるもの」であり、その中でも天ぷらは和食ジャンルの1つとして人気があります。差別化要素として、ほかの天ぷら店にはないカウンター調理の臨場感や専門店の本物感を味わえること、また塩や天つゆだけでなくタルタルソースやハニーマスタードソース、辣醤(ラージャン)などの調味料を用意して、好みの味付けで楽しめることが『天天』の特徴です。
──『天天 天麩羅専門店』の初動の売れ行きも好調だとか。課題はありますか?
堀さん:いまのところは好調ですね!ランチ、ディナーともに満席で待機列もできています。
天ぷらを理想的な衣の厚さにするなど、技術面でのクオリティの担保は重要ですね。中国の調理師学校の卒業生は技術力がかなり高いので、そこからキッチンの人財を集められるよう働きかけています。
一方で、食材の仕入れについては、エビなど海鮮ものを安定させることが急務ですね。お米はしっかり確保できるようになってきましたが、エビをどのように養殖して物量を確保していくかとか、天ぷらにするための加工場とどう連携していくかなど、やることはたくさんあります!
──やることがたくさんとのことで、やはりそれだけ人財の戦力も必要ということでしょうか。
そこについては、ただ人員が多くてもあまり意味がないので、今は事業規模に合わせて少数精鋭で生産性高く仕事を進めている状態です。とはいえ、やらなければならないことはたくさんあるので、自分がすべきことと、自分以外の人でも質が変わらないことを整理し、情報収集をしながら次々と意思決定して進めていかなければなりません。それがスピードにつながりますし、スピード感がないと時代の変化に飲み込まれてしまい、お客様にもお取引先様や同業他社にもついていけなくなります。
海外では、質やスピードのみならず、交渉能力や見極め力も求められます。実際、物語上海は、個人のプレースキルの高い人たちの集まりです。決めるべきことがたくさんなので、責任の所在が明確ですし、まさに「むき出しの自力で勝負の世界」ですね。自分で力を付けていきたいという人には、海外事業はうってつけの場ではないでしょうか。
──最後に、堀さんが考える中国事業の展望を聞かせてください。
堀さん:中国だけではなく、海外ビジネスをどう成長させていくかを常に考えています。上海、香港、シンガポールは、「アジアのショーケース」と言われていて世界の注目度が高く、ここでビジネスが受け入れてもらえて成功すれば世界へつながる可能性が高い場所です。その国に合わせて1つずつビジネスモデルをつくっていくよりも、世界中にいる「華僑」(中国本土から海外に移住した中国人およびその子孫)の人たちが良いビジネスモデルを探しに来るショーケースで成功することで、一気に世界進出ができると考えています。
日本だけでなく海外における業態開発型リーディングカンパニーとしてさらに加速できるよう、海外で通用する業態をどんどん開発して成功させたい。もともと寿司職人だった私が、『丸源ラーメン』の『熟成醤油ラーメン 肉そば」をつくって、焼肉業態の商品開発もやって、今は中国でハンバーグ専門店を開発して・・・なので、「できない業態はない!」と思っています。何をやるかはまだ秘密ですけれどね!(笑)
堀さん、ありがとうございました!
物語コーポレーションの開発理論は日本のみならず、海外の業態開発でも通用する原理原則なんですね!まだまだ進化する中国事業、そして新たな地域での事業から目が離せませんね!
「もっとものがたり」でも、海外事業の新たな動きを引き続き追っていきますので、お楽しみに♪