約5,000億円の「フルサービスうどん市場」に挑む理由
『肉讃岐 もっちりうどん源次郎』のオープン、おめでとうございます!初月月商2,450万円と好調なスタートですね。まずはこの新業態を立ち上げた狙いから教えてください。
廣瀬雅孝
ありがとうございます。当社の開発理論の軸は、一貫して「大マーケットで差別化すること」です。チェーンレストランとして永続的に成長するためには、既存事業が絶好調であっても、常に時流に乗った新業態を開発し続ける必要があります。それで今回ターゲットにしたのが、市場規模が約7,800億円規模の「うどん・そば市場」です。このうちセルフサービス市場(約2,800億円)は大手の寡占が進んでいますが、残り約5,000億円のフルサービス市場は個人店が多く、上位3社でもシェア15%程度にとどまっています。後発の当社としては、巨大でありながら絶対的な勝者がいないこのフルサービス市場にこそ、大きな優位性と参入チャンスがあると確信しました。
巨大市場の空白地帯に目をつけたわけですね。具体的に、既存のうどんチェーンとどのような差別化を図ったのでしょうか?
廣瀬雅孝
既存のセルフ式うどんチェーンに対して、お客様がもつ不満やストレスを徹底的に解消することを意識しました。セルフ式は一見手軽ですが、ベビーカーを押す子連れのご家族やご年配のお客様には負担が大きいですよね。さらに、天ぷらやトッピングを注文して満腹になろうとすると、お会計が1,000円から1,500円前後まで膨らんでしまい、「安いはずなのに価格を気にしながら食べなければいけない」というストレスがありました。そこで源次郎では、フルサービスの快適さを担保しながら、「うどん4玉まで同一価格」と「1,000円以内で満腹になれる圧倒的なバリュー」を打ち出しました。お客様から「こういう店が欲しかった!」といってもらえる業態設計こそが、勝ち筋なのです。
物語の強みを凝縮した商品力と、フルサービスを貫く姿勢
メニューをみると、看板商品の「霧島黒豚の肉讃岐うどん」が税込869円!しかも「うどん4玉まで同一価格」という太っ腹な設定ですが、商品自体にも非常に高い専門性を感じます。
廣瀬雅孝
安さや量だけを売りにしていては、長続きしません。圧倒的な商品力があって初めて、お客様に感動していただけると考えています。源次郎には、当社がこれまで培ってきたノウハウや強みが凝縮されているんです。
詳しく教えてください!
廣瀬雅孝
まず主役であるうどんですが、店内で製麺するだけでなく、独特の「もっちり感」を追求するために専用の小麦粉を選定したほか、メーカー様と共同開発した特注の圧力釜を導入しています。高圧・高温で一気に茹で上げることで、他にはない唯一無二の食感を生み出しました。そして、ごちそう感を演出する「肉」と「天ぷら」です。看板メニューに厳選したお肉を贅沢に使えるのは、『焼肉きんぐ』などを展開する当社の調達網と肉商材に対する知見があるからこそ。天ぷらもご注文をいただいてから揚げたてを提供していますが、衣や揚げ方の技術には、当社のルーツである『しゃぶとかに 源氏総本店』をはじめとする和食業態で培ったノウハウがしっかりと活かされています。
まさに物語コーポレーションの総力戦ですね!ただ、店内製麺や店舗でのだし引き、サクサクの天ぷらを一から揚げるとなると、オペレーション負荷も高そうです・・・。
廣瀬雅孝
確かに、同じ麺でもラーメンと比べると源次郎の方が難しいです。しかし、パートナー(アルバイト)でも高品質な商品を安定して提供できるよう工夫しています。例えば製麺工程においては、温湿度を一定に保てる専用の製麺室と熟成庫を備え、麺の厚みを自動で計測する高性能な製麺機を導入しています。『果実屋珈琲』の食パン焼成と同じで、決まった作業に集中して取り組めるため、慣れれば誰でも短期間で技術を習得できます。茹で工程においても、仮に麺のコンディションに多少のブレがあっても、圧力釜の効果で味や食感のブレがほとんど出ない仕組みになっています。
徹底した設備の工夫や仕組みがあるからこそ、高いクオリティと手づくりの美味しさを現場で両立できているのですね。
廣瀬雅孝
省人化が進む時代に、あえて「手づくり」と「フルサービス」にこだわり、原価を抑えながらも圧倒的な価値をお客さまへ還元する。最初から運営効率だけを追求するのではなく、まずはお客様に感動していただける提供価値を現場で守り抜くことこそが業態開発です。
グループを牽引する新たな柱を目指して
この新たなうどん業態である源次郎の確立は、物語グループ全体にとってどのような意味を持つのでしょうか?
廣瀬雅孝
これからの事業ポートフォリオを広げ、当社が持続的に成長し続けるための新たな柱を打ち立てる戦略的な挑戦です。外食業界に長年携わってきて痛感するのは、時代とともに人々の生活様式やニーズは必ず変化するということです。どれほど強いブランドであっても、単一の業態だけに依存していては将来の環境変化に対応しきれません。だからこそ、当社の強みである食べ放題(ハレの日需要)だけでなく、日常使いからちょっとした小ハレの需要までカバーできる源次郎のような単品高バリュー業態をポートフォリオに組み込むことが重要になります。客単価1,000円前後の領域で勝てる強固なモデルをつくることは、当社の事業基盤をより一層盤石なものにすると確信しています。
1号店の成果を踏まえて、今後の全国展開やFC加盟店向けのパッケージ化に向けた手応えはいかがですか?
廣瀬雅孝
1号店は平日夜からヤングファミリー層で満席になり、ディナー帯でも強いという大きな手応えを得ました。2号店以降も、主戦場は私たちが得意とする郊外ロードサイドの生活道路です。店内製麺のため物流の制約が少なく、FCパッケージとしても非常に魅力的なモデルになります。中部・関東圏のドミナント出店を皮切りに、将来の全国展開へ向けて大きく育てていきたいですね。
廣瀬さん、ありがとうございました!